ラプラス変換とは?基礎から分かりやすく解説します【大学数学の基礎】

数学の勉強をしていたら、突然Lみたいな記号が出てきて躓いた…

ラプラス変換てどんな効果があるの?

この記事では、ラプラス変換を初めて学ぶ人向けに、ラプラス変換とは何かを簡単に基礎から解説しています。

この記事を読むことでラプラス変換の記号の意味から、計算方法まで学ぶことができます。

ぜひペンと紙を用意して、実際に手を動かしながら見ていきましょう!

目次

ラプラス変換とは何なのか?

まずは、ラプラス変換とは何かを知ることろからです。

簡単に言ってしまうと、ラプラス変換とは「微分方程式を簡単に解くためのツール」の一つとしての使われ方があります。

ラプラス変換を使うことで、例えば、物理学などで出てくる微分方程式において、とんでもない量の計算から逃れることができるようになるのです。

歴史的には、「どうやら、微分方程式を解くための、便利なやり方が発見されたぞ!」っというとでラプラス変換の手法が使われだして、そのあとから手法について研究が進んだという流れをたどります。

その発展を成し遂げたのが、大体西暦1800年ぐらいの天才、

ピエール=シモン・ラプラスPierre-Simon Laplace

であり、その名前からラプラス変換という名前が使われています。

次の章から、まずは基本公式を見ていきましょう。

その前に一つ、ラプラス変換の記号を説明しておきます。

$$\mathcal{L}()$$

これが

「()のなかの関数をラプラス変換すると」という意味の記号となります。

$$\mathcal{L}()$$

これが「()のなかの関数をラプラス変換すると」という意味の記号となります。

ラプラス変換の基本公式

「時刻tの関数f(t)をラプラス変換する」というのは

$「f(t)に{e}^{-st}をかけて0から∞まで積分する」$

ということです。

これが定義ですが、実際に問題を解いていくことでその内容を実感していきましょう。

以下で扱う式変換は、問題を解く際によく出てくるものです。

必ず自分の手でできるようになりましょう。

これらの導出こそが、ラプラス変換の練習になりますので頑張っていきましょう!

まずは 1 のラプラス変換から。

$1に{e}^{st}をかけて0から1まで積分ですね$

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}(1) &=& \int_0^∞ 1・{e}^{-st} dt \\
&=&\left[ \frac{{-e}^{-st}}{s} \right]_0^∞ \\
&=&\lim_{t \to \infty} \frac{{-e}^{-st}}{s} + \frac{1}{s}\\
&=&\frac{1}{s}
\end{eqnarray}

次はtのラプラス変換をしよう

$tに{e}^{st}をかけて0から∞まで積分。$

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}(t) &=&  \int_0^∞ t・{e}^{-st} dt\\
&=&\left[ \frac{{-t}{e}^{-st}}{s} \right]_0^∞ + \int_0^∞\frac{{e}^{-st}}{s}
\end{eqnarray}

ここで部分積分をします。

\begin{eqnarray}
&=&\lim_{t \to \infty} \frac{{-t}{e}^{-st}}{s} + \left[ \frac{{-e}^{-st}}{s^2} \right]_0^∞ \\
&=&\lim_{t \to \infty} \frac{{-e}^{-st}}{s^2} + \frac{1}{s^2}\\
&=&\frac{1}{s^2}
\end{eqnarray}

さらに${e}^{at}$のラプラス変換をしよう

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}({e}^{at}) &=&  \int_0^∞ {e}^{at}・{e}^{-st} dt\\
&=&\int_0^∞ {e}^{{a-s}t} dt\\
&=& \left[ \frac{{e}^{{a-s}t}}{a-s} \right]_0^∞ \\
&=&\lim_{t \to \infty} \frac{{e}^{a-s}{t}}{a-s} - \frac{1}{a-s}\\
&=& -\frac{1}{a-s} ただし(s > a)
\end{eqnarray}

ただし$(s > a)$というのは、もし$ s < a $の場合は下から二行目の第二項が発散してしまうからですね。

最後に$\cos {at}$のラプラス変換をやってみよう

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}({\cos {at}}) &=&  \int_0^∞ {\cos at}・{{e}^{-st}}dt  (ここで部分積分)\\
&=&\left[ \frac{{-e}^{-st}}{s}・\cos {at} \right]_0^∞ \ - \frac{1}{s} \int_0^∞ {e}^{-st}・a \sin {at} dt (ここでまた第二項を部分積分)\\
&=&\lim_{t \to \infty} \frac{{-e}^{-st}}{s}・\cos {at} + \frac{1}{s} - \frac{a}{s}\{\left[ \frac{{-e}^{-st}}{s}・\sin {at} \right]_0^∞ \ + \frac{a}{s} \int_0^∞ {e}^{-st} \cos {at}dt\}\\
&=& \frac{1}{s} - \frac{a}{s}\{\lim_{t \to \infty} \frac{{-e}^{-st}}{s} \sin {at} + \frac {a}{s} \mathcal{L}(\cos {at})\} \\
&=& \frac{1}{s} - \frac{a^2}{s^2}\mathcal{L}(\ cos{at})
\end{eqnarray}

右辺の$$\mathcal{L}(\cos {at})$$を左辺に移行して、まとめる(この手法は三角関数の問題で頻出ですね)

\begin{eqnarray}
\frac{s^2+a^2}{s^2}\mathcal{L}(\cos {at}) &=& \frac{1}{s}\\
\mathcal{L}(\cos {at}) &=& \frac{s}{{s^2} + {a^2}} ( s > 0 )
\end{eqnarray}

sin atも同様の手法でできるのでチャレンジしてみてください。

ちなみにこれはオイラーの公式を用いても同じ答えを得ることができます。

こちらは少々長くなるので後々記事をアップしようと思います!

ラプラス変換の公式まとめ

ラプラス変換の対応はこちらです。

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}(1) &=& \frac{1}{s}\\
\mathcal{L}(t) &=& \frac{1}{s^2}\\
\mathcal{L}(\ sin {at}) &=& \frac{a}{s^2 + a^2}\\
\mathcal{L}(\ cos {at}) &=& \frac{s}{s^2 + a^2}\\
\mathcal{L}(t^n) &=& \frac{n!}{s^{n+1}}
\end{eqnarray}

ただし $$ s > 0 $$が条件となります。

これだけは知っておこう「ラプラス変換の微分法則」

これだけは知っておいてほしい法則が、ラプラス変換の微分法則です。

こちらは、とても使用頻度が高いので紹介しておきます。

まず、微分方程式には$$f'(x) とか f''(x) $$とかが出てきますよね。

この ' の数をそろえることで微分方程式が解きやすくなるので、なんとか ' を減らしたいという思いがあります(階数をそろえたい)。

$$微分法則は、なんと、このf'(x)をf(x)のみの形で表せるという法則です$$

$$例えば、f''(x)ならf'(x)のみの式にできるので、とても強力です。$$

ラプラス変換の微分法則

$$\mathcal{L}(f'(t)) = - f(0) +s\mathcal{L}(f(t))$$

$$こんな感じですから、一つ次数を下げると覚えれば大丈夫です!$$

微分法則の証明

この法則の証明は部分積分を用いればすぐです。

証明内容は、$$f'(t)$$をラプラス変換して、$$f(t)$$のみを含む形にできる、ということです。

では行きましょう!

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}(f'(t)) &=& \int_0^∞ f'(t)・{{e}^{-st}}dt \\
&=& \left[ {e}^{-st}・f(t) \right]_0^∞ \ - \int_0^∞ (e^{-st})'・f(t)dt\\
&=&\left[ {e}^{-st}・f(t) \right]_0^∞ + s\int_0^∞ e^{-st}・f(t)dt
\end{eqnarray}

第二項はf(t)のラプラス変換の形なので、

\begin{eqnarray}
&=&\left[ {e}^{-st}・f(t) \right]_0^∞ \ + s\mathcal{L}(f(t))\\
&=& \lim_{t \to \infty} {e}^{-st}f(t) - f(0) + s\mathcal{L}(f(t))\\
&=& -f(0) + s\mathcal{L}(f(t))
\end{eqnarray}

これで、微分法則の公式が出ましたね。

まとめ

この記事では、ラプラス変換とは何かということから、ラプラス変換を行う際に頻出の微分法則まで解説しました。

フーリエ変換などに将来的につながってくる分野なので、ぜひ扱えるようになってくださいね。

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