「非正規形の一階高次微分方程式」を解いてみよう【大学数学の基礎】

「非正規形の微分方程式の定義が何か」を大まかに理解した方が、さらに理解を深めるためにおすすめしているのが問題演習です。

問題をたくさん解くことで、(学部レベルの)微分方程式が解けそうかどうか?ということを肌感で感じられるのではないでしょうか。

しかし、いきなり問題をたくさん解くことは大変です。

このページでは、

非正規形・一階微分方程式の解き方を「2タイプ」紹介しています。

まずは、このページで一緒に、丁寧に”非正規形の微分方程式の例題”を解いていきませんか?

なお、

大学1年生のガジェフリ
非正規形とは?一階の微分方程式ってなに?

という方は、こちらの記事で基礎から解説していますので、ぜひご覧になってくださいね。

目次

一階微分方程式って何か?を復習しよう

今回の記事では、非正規形の微分方程式、中でも一階微分方程式の解き方を解説します!

まずは用語を復習しましょう。

詳しくはこちらのページで解説していますので、この段落では簡潔に見ていきましょう。

「一階」というのは、微分方程式の階数が1、つまり「y'のみ登場する」ということです。

例えば

$$y'=x+1$$

は、一番多く微分されているものがy'ですので、これは一階の微分方程式ですね。

また、微分方程式が「階数が最大のy」について解ける形になっていたら、それは正規形であるといいます。

非正規形というのは、「階数が最大のy」について解けないものという理解で良いと思います。

非正規形の微分方程式は2通りのやり方で解く

まず覚えておいてほしいことは、非正規形の微分方程式では、主に2タイプに分かれる、という事です。

その2タイプというのは、

タイプ2つ

①因数分解できる形
②x=f(p),y=g(p)という形

pとは、媒介変数のことです。

①、②のどちらの場合も、まずは媒介変数pを置くことからはじめます。

$$\frac {dy}{dx}=p$$

というようにpで置き換えるというわけですね。

pを実際にどう使うか、は以下で順を追って例題で見ていきますので、まずはこの2つに大きく分けることができる、ということをつかみましょう!

非正規形一階微分方程式では、媒介変数pをおく

まず、非正規形の一階微分方程式では、$$\frac {dy}{dx}=p$$と置きます。
$$y'=p$$とも書けます。

なぜp遠くのでしょうか。

それは、pとおくことで式が読みやすくなるからです。

pのおかげで、元は見づらかった複雑(に見える)微分方程式が、pについての方程式という風に見れることになります。

pをおく理由がわかったところで、まずは、媒介変数を置くタイプを見ていきましょう。

因数分解できる非正規形の微分方程式の解き方

媒介へ変数pについて因数分解できる形であれば、因数分解してしまいましょう。

媒介変数pについて因数分解をすることで、複数の正規形の微分方程式を取り出すことができます。

例えば、$$p^2-(3x+2y)p+6xy=0$$

であれば、

$$(p-3x)(p-2y)=0$$
$$p=3x,p=2y$$
$$ここでp=\frac {dy}{dx}より$$
$$\frac {dy}{dx}=3x,\frac {dy}{dx}=2y$$

という正規形の2式を取り出すことができます。

あとは、この正規形の微分方程式をとけば、解を求めることができます!

正規形の微分方程式の解き方はこちら↓

因数分解できるタイプ【例題】

$$\left( \frac {dy}{dx} \right)^2-(4x+3y)\frac {dy}{dx}+12xy=0・・・①を解け$$

まずは$$\frac {dy}{dx}=pとおけばいい$$ことを思い出します。すると、

\begin{eqnarray}
p^2-(4x+3y)p+12xy&=&0\\
(p-4x)(p-3y)&=&0\\
p&=&4x,p=3y\\
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}
(ⅰ)p=4xのとき\\
\frac {dy}{dx}&=&4x\\
dy&=&4x・dx\\
y&=&\int_{}^{}4xdx(直接積分形)\\
y&=&2x^2+C_1・・・②\\
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}
(ⅱ)p=3yのとき
\frac {dy}{dx}&=&3y\\
\frac {dy}{y}&=&3dx\\
\int_{}^{}\frac {1}{y}dy&=&\int_{}^{}3dx\\
log|y|&=&3x+C_2\\
|y|&=&e^{3x+C_2}\\
y&=&±e^{3x+C_2}\\
&=&±e^{c_2}e^{3x}\\
&=&C_3e^{3x}・・・③\\
\end{eqnarray}

以上、①の一般解は②、または③であるから、
$$(y-2x^2+C)(y-Ce^{3x})=0$$
である

気を付けておくことは、「このとき、Cは互いに独立で、異なる定数値をとり得る」という事です

それでは次に、もう一つの形を見ていきましょう。

x=f(p)の形の微分方程式の解き方

$$\frac {dy}{dx}=p$$とおいたとき、x=f(p)の形の微分方程式となれば、解くことができます。

もう少し丁寧に言うと、xがpの関数である形となればよいと言うことです。

関数というのは、一つのxに対し一つのyの値が一意に定まるということ、
例えば x=p+4です。これはxがpの関数と言えますね、ですから解くことができます。

ただし、式変形が少し特殊です。

ⅰ.dy/dx=pであるから、dy=p・dxとなる

ということを使い、式変形をしていくのです。

また、この式変形では、元の式の微分の形を作りたい!というモチベーションが重要です。

$$dy=p・dx=p・\frac {dx}{dp}・dp=p・\frac {df(p)}{dp}dp$$

ここで、

$$p・\frac {df(p)}{dp}はpの関数であるから、yについての直接微分形とみなせる$$

その後は、直接微分法の解法を選択すれば良いですね。

直接微分法の解説はこちらで行っていますので、ぜひこの機会に復習してみてくださいね。

\begin{eqnarray}
dy&=&p・\frac {df(p)}{dp}dp\\
y&=&\int_{}^{}p・\frac {df(p)}{dp}dp+C\\
\end{eqnarray}

あとは、pを消去すればよいのですね。

では、実際に問題を解いてイメージをつかみましょう。

非正規形の微分方程式 x=f(p)形の例題

$$x=4p^2+3をとけ$$

\begin{eqnarray}
\frac {dy}{dx}&=&pより、\\
dy&=&p・dx\\
&=&p・\frac {dx}{dp}・dp\\
&=&p\left( 4p^2+3 \right)'・dp\\
&=&8p^2・dp
\end{eqnarray}

直接微分形なので、両辺積分をとると

\begin{eqnarray}
\int_{}^{}dy&=&\int_{}^{}8p^2dp\\
y&=&\frac {8}{3}p^3+C\\
\end{eqnarray}

次にやりたいことは、pを消去して、xとyのみの式にすることです。


ここで使えそうな式は次の2つがありますね。


$$x=4p^2+3,y=\frac {8}{3}p^3+C$$


この2式からpを消去すればいいわけです。


ここでは、$$p^6$$


の形を作っていきます。


式変形により$$p^6=\frac {(x-3)^3}{64},p^6=(y-C)^2\frac {9}{64}$$を得るので、これらからpを消去すると
$$9(y-C)^2=(x-3)^3$$を得ます。

これが一般解となります。

それでは、ラストの形をみていきましょう。

非正規形の微分方程式 y=g(p)形の解き方

y=g(p)形の場合も、x=f(p)形と似たような流れで解くことができます。


早速見ていきましょう。


ⅰ.dy/dx=pであるから、dx=\frac {1}{p}・dyとなる
ⅱ.式変形を行う

この手順で解くことができます。

この式変形では、元の式の微分の形を作りたい!というモチベーションが重要です。


$$dx=\frac {1}{p}・dy=\frac {1}{p}・\frac {dy}{dp}・dp=\frac {1}{p}・\frac {dg(p)}{dp}dp$$


xをpの関数とみると、直接微分形とみなせます。

ⅲ. 直接微分形の解法

\begin{eqnarray}
dx&=&\frac {1}{p}・\frac {dg(p)}{dp}dp\\
x&=&\int_{}^{}\frac {1}{p}・\frac {dg(p)}{dp}dp+C\\
\end{eqnarray}

ⅳ.あとは、pを消去すればよいですね。

それでは、具体的に問題を解いてみましょう。

非正規形の微分方程式 y=g(p)形の例題

$$y=4p^3をとけ$$

\begin{eqnarray}
dx&=&\frac {1}{p}dy\\
&=&\frac {1}{p}\frac {dy}{dx}・dy\\
&=&\frac {1}{p}\left( 4p^3\right)'・dy\\
&=&\frac {1}{p}12p^2・dy\\
&=&12p・dy\\
\end{eqnarray}

直接形の微分方程式なので両辺積分すると

\begin{eqnarray}
\int_{}^{}dx&=&\int_{}^{}12pdy\\
x&=&6p^2+C
\end{eqnarray}

こで使えそうな式は次の2つがありますね。


$$y=4p^3,x=6p^2+C$$


この2式からpを消去すればいいわけです。


ここでは、$$p^6$$に合わせていきましょう。

\begin{eqnarray}
p^6=\frac {(x-C)^3}{216},p^6&=&\frac {y^2}{16}\\
\frac {(x-C)^3}{216}&=&\frac {y^2}{16}
\end{eqnarray}

2(x-C)^3=27y^2$$


が一般解となります

媒介変数pがうまく消えない場合は?

pがうまく消せない場合は、pを用いて表せば大丈夫です。


どういうことかというと、上の例では、


$$y=4p^3,x=6p^2+C$$という様に回答すればよいという事です。

まとめ【非正規形の微分方程式の解き方】

以上、非正規形の微分方程式には、2つのタイプがありました。


①因数分解できる形

②x=f(p),y=g(p)という形

②では、$$p=\frac {dy}{dx}$$を用いて式を作り出し、元の式と、新しくできた式から連立方程式のようにしてpを消去することで、xとyの式を求めました。


非正規形の微分方程式は、微分方程式の基礎となる範囲ですので、ぜひマスターしてみましょうね。

お疲れ様でした。

以下のサイトでは、正規系の微分方程式の解き方を扱っています。

ぜひ今回の記事と比べて、身につけるようにしましょう。

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