微分方程式を学び始めて、一番に出てくる基本の形が「直接積分形」と「変数分離形」です。
今回の記事では、特に「変数分離形」について扱いますが、高校と違い大学の教科書を読むだけでは、習得は困難です。
是非手を動かして、読んでいただけると幸いです。
高校数学と大学数学には、扱う内容の難しさ、勉強方法に大きな違いがあります。
本記事を読み、大学数学の入門で躓く人が少なくなれば、とても嬉しく思います。
目次
常微分方程式と偏微分方程式とは?
まずは復習です。
常微分方程式:変数が2個だけ
偏微分方程式:変数が3つ以上あるもの
※あくまでわかりやすさを最優先したものですので、しっかりとした定義は教科書などでチェックしておきましょう!
常微分方程式と偏微分方程式は、当たり前に使われる用語ですので、しっかりと覚えておきましょう。
覚えていなかった方、ぜひ下記事で、「直接微分形」と共に復習しておきましょう!
変数分離形の微分方程式
$$\frac {dy}{dx} = g(x)・h(y) (h(y) \neq 0) ・・・①$$
の形の微分方程式は、変数分離形と呼ばれます。
なぜなら、一般解を求める過程で、「yの項は左辺に、xの項は右辺にまとめる」過程を得るため、「変数ごとに左辺・右辺に分離」していると言えるからです。
$$\frac {dy}{dx} = g(x)・h(y) (h(y) \neq 0)$$という形で、変数ごとに左辺・右辺に分離することを特徴とする。
それでは早速、一般解の求め方を見ていきましょう。
一般解は、以下の流れで求めます。
それでは、g(x)・h(y) (h(y) \neq 0) ・・・①$$を解いてみます。
①を変形して
\begin{eqnarray}
\frac {1}{h(y)}・\frac {dy}{dx} =& g(x)\\
\int \frac {1}{h(y)}・\frac {dy}{dx} dx=& \int g(x) dx\\
\int \frac {1}{h(y)} dy =& \int g(x) dx\\
\end{eqnarray}
どうでしょう、左辺はyについての式でまとまって、右辺はxについての式にまとまりました!
ここまでくれば、あとは積分して、左辺がyの式,右辺がxの式にできますから、解けますね。
練習問題
$( x^2・\frac {dy}{dx} = y^2$) の一般解を求めよ$(x \neq 0, y \neq 0$)
変形すると
$$\frac {1}{y^2} dy = \frac {1}{x^2} dx$$
変数分離形ですね。両辺積分します。
\begin{eqnarray}
\int \frac {1}{y^2} dy =& \int \frac {1}{x^2} dx\\
-\frac {1}{y} =& - \frac {1}{x} + C\\
y =& \frac {x}{x + C}
\end{eqnarray}
$$最終行ではC→-Cとしました。$$
$( (2 - x)y' = y^2$) の一般解を求めよ$(x \neq 2, y \neq 0$)
式変形すると
$$\frac {dy}{y^2} = \frac {dx}{2-x}$$
両辺積分して、
\begin{eqnarray}
\int \frac {dy}{y^2} =& \int \frac {dx}{2-x} \\
- \frac {1}{y} =& - \log |2 - x| +C\\
y =& \frac {1}{\log |2 - x| + C}
\end{eqnarray}
$$最終行ではC→-Cとしました。$$
以上です。お疲れさまでした!
まとめ
本記事では、常微分方程式の変数分離形について扱いました。
直接分離形と共に、基礎となる大切な方法ですので、しっかり身につけておきましょう。
大学数学では、手を動かし、じっくり式を追っていくことが大切ですので、演習の際は、「問題を解くこと」だけではなく、「どう解くか?」「どういう意図で式変形したのか?」ということに着目していきましょう。
お疲れ様でした!