三角関数sinとcosをラプラス変換したいけど、部分積分でコツコツやるのは面倒だな。もっといい方法はないかな?
今回の記事では、このような状況に対する解決策を紹介します。
$$ \sin at、\cos atのラプラス変換を、オイラーの公式を用いて導出していきたいと思います!$$
こちらの記事の、オイラーの公式を使わない「部分積分でゴリ押しするラプラス変換」とくらべてみることがおすすめです。
目次
オイラーの公式の復習
まず、今回の記事の鍵となる、オイラーの公式を紹介しておきます。
$$e^{ix} = \cos x + i \sin x$$
ですね。
こちらを使って解説を進めていくため、「オイラーの公式をわかりやすく、もっと知りたい!」という方はこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
まず、オイラーの公式から。
$$e^{ix} = \cos x + i \sin x$$
ですね。これを用いて、まずはコサインのラプラス変換
$$\mathcal{L}(cos(at)) = \frac{s}{s^2 + a^2}$$
を証明していきます。
コサインのラプラス変換は、サインを消す方針で。
求めるラプラス変換はcosなので、どうにかcosの等式が欲しい、と考えます。
$$なぜなら、cosの等式が出れば、両辺にe^{-st}をかけてを0から∞まで積分(つまりラプラス変換)できる、という作戦が立つからです。$$
そこで、「オイラーの公式にcosとsinの項があること」に着目するわけです。
cosとsinの両方がありますが、どうやってcosだけにしましょうか。
1つ目のポイントです。
2つの式を用意して、sin同士を消し合えばいいですね。
sinの項の符号がマイナスになればいいのですから、
sinの中身の符号をいじり、
$$\sin {(-x)} = - \sin x$$
を使えばマイナスにできますね。
コサインのラプラス変換を求めてみる
$$e^{-ix}= \cos x + i \sin xのxにatと-atを代入する$$
\begin{eqnarray}
e^{iat}&=& \cos {(at)} + i \sin{(at)} ・・・①\\
e^{-iat} &=& \cos{(-at)} + i \sin{(-at)} ・・・②
\end{eqnarray}
$$ここで②は、三角関数の中身を整理するとe^{-iat} = \cos{(at)} - \sin{(at)}・・・②'$$
①と②’の和をとると、
$$e^{iat} + e^{-iat} = 2 \cos {(at)}$$
これでcosだけの式になりました!
整理して
$$\cos {(at)}= \frac{1}{2} (e^{iat} + e^{-iat})$$
これをラプラス変換すると
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}(\cos {(at)}) &=& \frac{1}{2} \int_0^∞ (e^{iat} + e^{-iat})・{e}^{-st} dt\\
&=& \frac{1}{2} \int_0^∞ (e^{(-s + ia)t} + e^{-(s + ia)t})dt \\
&=& \left[ \frac{{-e}^{(-s + ia)t}}{-s + ia} - \frac{{-e}^{-(s + ia)t}}{s + ia} \right]_0^∞ \\
&=& {\frac{\lim_{t \to \infty} e^{(-s + ia)t} - e^0}{-s + ia} - \frac{\lim_{t \to \infty} e^{-(s + ia)t}- e^0}{s + ia}}
\end{eqnarray}
$$ここで、limがついている項に注目します。$$
$$e^{iat}の項がありますね!$$
$$e^{iat} = \cos {(at)} + i \sin {(at)} を用いて今度はcosとsinを使った形にします。$$
$$= {\frac{\lim_{t \to \infty} e^{-st}(\cos {(at)} + i \sin {(at)}) - 1}{-s + ia} - \frac{\lim_{t \to \infty} e^{-st}(\cos {(at)} - i \sin {(at)}) - 1}{s + ia}}$$
ここで、$$\lim_{t \to \infty} e^{-st} \cos {(at)} $$について、
$$-1 < \cos {(at)} <1$$より、
$$- \lim_{t \to \infty} e^{-st} < \lim_{t \to \infty} e^{-st}\cos {(at)} < \lim_{t \to \infty} e^{-st} (s > 0)$$
$$最左辺、最右辺において、\lim_{t \to \infty} e^{-st} = 0 であるから$$
はさみうちの原理より
$$\lim_{t \to \infty} e^{-st} \cos {(at)} = 0$$
$$同様に \lim_{t \to \infty} e^{-st} \sin {(at)} = 0$$
よって、
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}(\cos {(at)}) &=& \frac{1}{2}(\frac{-1}{-s + ia} + \frac{1}{s + ia})\\
&=& \frac{1}{2}(\frac{1}{s - ia} + \frac{1}{s + ia})\\
&=& \frac{s}{s^2 + a ^ 2}
\end{eqnarray}
これで完成です!
sinのラプラス変換も、同じやり方で求められますよね.
そちらは割愛させてくださいね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
この記事では、オイラーの公式を用いて、三角関数のラプラス変換の方法を解説しました。
発想は少しひねってある感じですが、計算量では
部分積分を使うほうよりも少ないのでいいですね。
以上です。
お疲れ様でした!