微分方程式を学び始めて、一番に出てくる基本の形が「直接積分形」と「変数分離形」です。
今回の記事では、特に「直接積分形」について扱いますが、高校と違い大学の教科書を読むだけでは、習得は困難です。
是非手を動かして、読んでいただけると幸いです。
高校数学と大学数学の違いに戸惑う方のために本記事を作成しています。
本記事を読み、大学数学の入りでつまづくことが無くなれば、とても嬉しく思います。
目次
常微分方程式と偏微分方程式とは?
微分方程式という大きなジャンルは、大きく分けて「常微分方程式」「偏微分方程式」この二種類に分けることができます。
常微分方程式とは、変数が2個だけの時!と言えます。
例えばxとyの常微分方程式とは、xやx'、yやy'など、xとyやその微分したものだけが
項になっている微分方程式です。
例:
$$\dot{y} = 2x + y + 6$$
偏微分方程式は、変数が3つ以上あるもの、といえます。
例えばx,y,u、そしてその微分形の関係式となっているときは偏微分方程式です。
例:
$$\left( \frac {\partial u}{\partial x} \right)^2 + \left( \frac {\partial u}{\partial y} \right)^2 = 4$$
常微分方程式:変数が2個だけ
偏微分方程式:変数が3つ以上あるもの
※あくまでわかりやすさを最優先したものですので、しっかりとした定義は教科書などでチェックしておきましょう!
これらの、「常微分方程式」「偏微分方程式」は当たり前のように出てくる用語ですので、しっかり押さえておきましょう。
それでは、常微分方程式の直接分離形について、学んでいきましょう。
直接分離形の微分方程式
最も簡単に解ける、単純な形がこの、直接積分形です。
$$\frac {dy}{dx} = f(x)$$
の形の微分方程式を直接積分形といいます。
$( \frac {dy}{dx} = \frac {2x}{1 + x^2} $)の一般解は?また、初期条件y(0) = 1の特殊解を求めよ
といった問題があります。
上記の式を見てみると、左辺はdy/dx、右辺はxの関数f(x)ですので、直接積分形ですね。
このような、直接分離形の解き方をまとめると以下の流れとなります。
それでは、先ほどの例題を見ながら解いていきましょう。
紙を用意し、実際に手を動かしてみることが習得の第一歩です!
まずは両辺積分する
直接積分形$$\frac {dy}{dx} = f(x)$$を見たら、まずは両辺積分しましょう。
すると、
\begin{eqnarray}
y =& \int \frac {2x}{1 + x^2}\\
=& \log {(1 + x^2)} + C(Cは積分定数)・・・①
\end{eqnarray}
この時点で、もう一般解を得ることができています。
本当に積分するだけでしたので、「直接積分法」は簡単だと思えたのではないでしょうか。
特殊解を求める
特殊解というのは、「任意定数を固定したときの解」のことです。
つまり、与えられた条件を使って任意定数Cの値を求めるということが必要です。
この問題では、y(0)=1の特殊解を求めることも求められています。
上記①に代入すると
y(0) = 1のとき、
$$1 = \log {(1 + 0)}+ C $$
$$C = 1$$であるから、
特殊解は $$y = \log{(1 + x^2)} + 1$$
という特殊解を求めることができました。
特殊解というのは、「任意定数を固定したときの解」のこと。
つまり、与えられた条件を使って任意定数Cの値を求めるということが必要。
それでは、練習問題を解いてみましょう。
練習問題
$(\frac {dy}{dx} + \tan x - 1 =0$)の一般解は?
$$ 移項すると \frac {dy}{dx} = - \tan x + 1 これは直接分離形。$$
両辺積分すると
\begin{eqnarray}
y =& \int ( - \tan x + 1)\\
y =& \int ( - \frac {\sin x}{\cos x} + 1)\\
y =& \log |\cos x| + x
\end{eqnarray}
まとめ
この記事では、常微分方程式と偏微分方程式の違いから、常微分方程式の入門である、「直接積分形」の解き方を扱いました。
微分方程式を始めてすぐの時は、解くことに慣れないかもしれません。
しかし、たくさん問題を解き、手を動かすうちに、体に解き方を染み付かせることができます。
是非諦めないで、頑張っていきましょう!